暴力団のフロント企業を見分けるには?反社チェック
暴力団などの反社を抑制する取り締まりが強化されたことによって、儲かる仕事よりも、安定した収入を優先した反社組織が増えています。こうしたフロント企業であっても、従業員や取引先は一般人であることが多く、反社との関係性を調べることが難しくなってきています。そこで、今回の記事では暴力団が経営するフロント企業について、詳しく解説していきたいと思います。
暴力団が経営するフロント企業
フロント企業を聞いたことがありますか?テレビやネットのニュースでは、反社勢力について解説する際に説明される言葉ですが、普段はあまり聞き慣れない言葉かも知れません。そこで、ここではフロント企業とはなんなのか、詳しくご紹介したいと思います。
フロント企業とは
フロント企業とは、暴力団が設立、経営に関与している企業全般のことを言いますが、その種類には二つのタイプが存在します。一つ目は、暴力団が創業から経営まで行なっている企業です。これは暴力団対法が施行される前から存在している企業方式で、暴力や恐喝などを駆使した犯罪まがいの行為で運営を行なっていることもあったようです。(現在は規制により通常業務を行なっている)
もう一つは、暴力団の準構成員や、暴力団と親交のある人間が経営した企業で、反社勢力に資金提供を行なっている企業です。経営を安定させるために暴力団などのバックアップを受けている企業があり、そうした企業もフロント企業と呼ばれることがあります。
フロント企業が進出している業界
有名なところでは、金融業、土木建築、不動産、風俗、一部の飲食店などがあげられます。こうした業界は、暴力団対策法が施行される前から反社組織が取り仕切っていたこともあり、現在でも業界の中心的存在になっている組織も少なくありません。現在では、IT業界、人材派遣業、産業廃棄物処理、探偵業などにも進出しており、表沙汰にはなっていないものの、その業界を広げつつあるようです。
フロント企業と一般企業の見極めは難しい
フロント企業の表沙汰は「一般企業」であるため、一般人から反社組織の関係性を見つけることは、とても困難だと言われています。また、最近では反社勢力と直接的な関係性はないものの、事業拡大をきっかけに反社組織からの資金援助や、資金提供を行なっている企業もあり、反社と一般企業の関係性はさらに不透明になりつつあります。
フロント企業は何が問題なの?
ここまでで、フロント企業がどんなものなのかご理解頂けたかと思いますが、ここで一つの疑問が浮上します。
「フロント企業は犯罪なのか」ということです。テレビやネットを見ても、反社勢力と関係を持たないための方法などが紹介されていますが、それはなぜなのか、解説していきたいと思います。
フロント企業は違法ではなく、犯罪にはならない
フロント企業は暴力団やその関係者が関わる企業ですが、正規の方法で手続きをした「正当な企業」であれば、犯罪になることはありません。(偽証や犯罪行為を行なっている場合は別)そのため、フロント企業だからと言って、すぐに問題が発生するわけではありません。
後にトラブル発生の可能性がある
フロント企業に在籍している幹部や社員には、暴力団構成員が在籍していることもあり、トラブルがあった際には理不尽な要求をされることがあります。フロント企業では、犯罪行為になるような問題も、社内問題として処理することが多く、隠蔽するということも日常茶飯事です。通常業務を行なっている時は問題がなくても、いずれ大きなトラブルを起こす可能性を秘めているのです。
企業イメージの低下、業績悪化
コンプライアンス問題が取り沙汰されている昨今、反社やその関係企業に対する風当たりは非常に強いものとなっています。一般企業であっても、反社との関係性があると分かれば取引を打ち切られる、風評被害を流されるなどの問題に直面することになります。フロント企業との取引によって、場合によっては倒産を余儀なくされることもあるでしょう。一般企業にとって、反社が経営するフロント企業と取引することはデメリットでしかないのです。
フロント企業を見破るには
反社で経営するフロント企業と関わらないためには、フロント企業を見極めるための反社チェックが必要です。反社チェックとは、取引先、自社の従業員、株主などに行われる企業独自のチェック方法で、いくつかのデータを元に反社との関係性を調査するものです。
企業側が気をつけること
会社経営をしている立場であれば、フロント企業を調査することは非常に重要です。株主、取引先、社員、提携会社など、関係性のあるもの全てに反社関係者やフロント企業が関わっている可能性があるため、定期的な反社チェックと、慎重な契約が必要になります。不安であれば、顧問弁護士や顧問探偵などを在籍させることで、反社チェックを円滑に行うことができるでしょう。
一般人が気をつけること
新卒や中途採用などで企業に応募する一般人の場合は、フロント企業を見極めることは難しいと言えるでしょう。ただし、フロント企業は一般企業では行わないような「悪い傾向」が残っていることも多いため、そうした体質を見抜くことで見破ることができるかも知れません。
「悪い傾向」として判断できるポイント
- いわゆるブラック企業と言える体制をとっている(社員待遇)
- 企業情報が不透明
- 重役に犯罪歴のある人物が存在する
- 口調が悪い、ヤクザ用語を使うことがある
こうした点から反社組織、もしくは反社との繋がりがある企業として判断することができるかも知れません。これらの情報を目安として、反社組織であるかを判断してみましょう。心配であれば探偵業者を利用することも一つの手かも知れません。
まとめ
今回の記事では反社組織が運営するフロント企業についてご紹介させて頂きました。暴力団の規制によって、今後もフロント企業は増加するものと思われます。中には裏で行なっている事業のダミーとしてフロント企業を経営している反社組織もあり、その手口が巧妙化しています。今後、取引先や社員などに不安を感じることのないよう、反社チェックを行い、しっかりと対策をしてください。